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日本電気株式会社(NEC)の2025中期経営計画の中で示されたソートリーダーシップ活動の本格化。これはNEC 2030 VISIONにある「顧客との未来の共感創り」を目指す変革のひとつである。市場のリーダーとして将来ビジョンを発信し、新たな顧客価値を創造する存在となることへの強い意志が示された。
今回の舞台は、2022年に組織再編された官公ソリューション事業部門。全国民が受益者となる行政DXソリューションの提案を行う部門だ。ガバメントビジネスという特性から、予算規模も大きく、施策検討からプロジェクト完遂までの期間は数年単位。そのため、国を変え、国民の意識や生活を変える仕事の担い手として、社会起点で未来を見通しながら、NECのアセットである技術力と人材を活用し、社内外にチームを創りながらコトづくりを進めていける人材、すなわちソートリーダーの組織的育成が急務であった。
しかし、既存事業やマーケットや顧客特性により培われた「行政の課題のイネーブラー(支援者)」という従来スタンスを変えることは容易ではない。そのため、部門支配人の岡田氏と人材戦略グループの寺門氏が仕掛けたのは、部門の次世代リーダーたちに対して、ソートリーダーとしての視点と時間軸を習得できる機会を提供することだった。
視線は外向きに、社会課題をジブンゴト化し、信念や念いを持って、広く社会に「未来の共感」を創り出すべく働きかけるリーダーシップの開発のため、約4か月にわたるTHOUGHT LEADERSHIPプログラムがデザインされた。
(Solutionに続く)
プログラムは、約4か月、計3つのフェーズで構成された。第一フェーズではリーダーシップの体得、第二フェーズでは社会課題のジブンゴト化、第三フェーズでは自社ならではのCSV(Creating Shared Value)の探求と段階を踏んで、リーダーシップを開発していく。
特に、社会課題のジブンゴト化フェーズでは、CAL(Community Action Learning)というコミュニティコンサルティングを通じて、参加者が認知的共感をもって当事者の声や一次情報に触れ、表層的な課題ではなく、課題の再設定を行いながら真因に迫っていった。
最後の自社ならではのCSVの探求フェーズでは、社会課題の解決と自社の経済的価値を両立させる新しいビジネスアイデアを、事業部門の代表や新規事業開発室メンバーなどに向けて発表するデザインとした。
(Resultsに続く)
今回参加者の藍野氏は、約4か月のプログラムを通じて、ソートリーダーシップの根幹にある「念い(おもい)」の重要性に気づき、そのことで大きく行動が変わったと話す。意識と行動の変化は、彼らのチームが最終フェーズで行った提言の案件化という形で結実した。そこに留まらず、続く事業開発プロセスでも、また自身のチーム運営においても学びを活かしていると話す。ソートリーダーの必須能力には、認知的共感や課題形成力など5つの能力がある。それらのリーダーシップ能力開発にドライブをかけるのが、「念い」なのだ。
企画した人材戦略グループは、念いに火を灯し、周囲を巻き込むリーダーシップの開発機会である本プログラムの継続実施を決定した。現在は、次の期に向けた準備中だ。本気で取り組んだ共通の経験を持つ次世代のリーダーたち。彼らが互いにインスパイアしあいながら、今はまだはっきりとは見えない課題に対して自ら提言し、仲間やステークホルダーを巻き込んでチームをつくり、変革を主導していくことを確信している。
NECのソートリーダーたちは、「未来の共感」を創り出し、社会を変えていく。
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